
私は、ポール・シューリス氏が、新たに「WordPress for Business Bloggers(ワードプレス・フォー・ビジネスブロガーズ)」と言う書籍を出版した聞いて、とてもワクワクした。ワードプレスのヘビーユーザーとして、そして、ビジネスブロガーとして、まさに私のようなブロガーに向けて綴られたこの書籍を、是非読んでみたいと思ったのだ。これまでも、ワードプレスやブログに関する本をたくさん読んできたが、自分が対象にされている本は一冊もなかった。
しかし、この本のタイトルは、内容を正確に反映しているとは思えない。たった350ページで、ビジネスブログとワードプレスの双方を詳細にわたって説明することなど出来るはずがない。そのため、A) ビジネスブログをメインに取り上げ、ワードプレスには触れる程度の本なのか、あるいは、B) ワードプレスをメインに取り上げ、ビジネスブログには触れる程度の本のどちらかになるはずである。
この本は、良くも悪くも、「B」に当てはまる。ビジネスブログを徹底的に解明しているチャプターはたった1つである(第一章)。しかも、その大半は、「計画」段階に割いている。残りのチャプターは、基礎的な内容であり、ブログとワードプレスの概要と言ったところか。
だからと言って、劣悪な本だと指摘しているのではない。しかし、タイトルを信じて手に取った読者のなかには、内容が基礎ばかりであることに気づき、腹を立てる人もいるかもしれない。それでも、その点だけに囚われることなく、とても役立つ本だと考える人もいるだろう。
読者
この本を読み始めたとき、私は、2種類の読者層のことを考えながら読むように心掛けた:
- 自分: 私はワードプレスを3年間にわたり利用している実績があり、ブロガーとして「ベテラン」の部類に入る。また、ビジネスブロガーでもあり、ブログを通じて、コンサルティング業務を売り込み、比較的にソフトウェアにも詳しく、「上級者」だと考えている(「エキスパート」の域には達していない)。
- 友人: 私には、同じオフィスを共有する弁護士の友人がいる。彼は弁護士としては優秀だが、ブログに関しては、初心者同然である。私は、数週間前、彼の代わりにワードプレスをインストールした。彼は喜び、ブログを運営し、宣伝およびネットワーク作りに役立てたいと望んでいた。
以上の2つの読者層を意識すると、この本は、明らかに「自分」よりも「友人」を対象としていることが分かる。一定の期間、ブログを運営し、ワードプレスを利用しているなら、この本の内容の95%は既に理解しているだろう。新しいアドバイスや秘訣も幾つかあったが、それだけのために本を購入する価値があるとは、私には思えなかった。
しかし、私の友人ように、ワードプレスやブログを始めたばかりの人には、とても役に立つのではないだろうか。「友人」読者層を意識していても、パーフェクトな作品とは言えないが、それでも、読む人によっては、何かしらメリットを得ることが出来るだろう。
気に入った点
全体的に、この本は、スタンドアロンのワードプレスのブログを始める際の、ガイドのような内容である。ワードプレスを利用したことがない人でも、この本を読めば、理解することが可能であり、インストールやサイトの設定が自分で出来るようになるのではないだろうか。当然ながら、サイトのデザインや良質なエントリを書く方法など、この本で綴られているポイント以外にも学ばなければいけないことはある。
この本は、サイトを運営するために必要なすべての作業を徹底的に追求するのではなく、何も分からない人のために、「基礎トレーニング」、または、「ワードプレス・ブートキャンプ」を提供しているのだ。
これらの情報をオンラインで無料で手に入れることは出来るのだろうか?もちろん可能だ。しかし、オンラインのマニュアルにいちいち目を通すのが面倒だと言う人や、ただ単に本の方が好きだと言う人には(大半のビジネスブロガーの予備軍に共通する特徴ではないかと私は考えている)、お薦めしたい一冊である。
しかし、もう少し工夫することが出来たのではないだろうか。このままでは、読者の行動範囲を限定してしまうだろう。
気に入らなかった点
まず、「困難を作り出す状況」が幾つか見られ、全体にダメージを与えている。例えば、角括弧で囲まれているHTMLのタグを説明するチャプターで、数ページを割き、XAMPPを使って、テストサーバーをコンピュータにセットアップする方法まで説明しているのは、奇妙に思えた。
この本に掲載されている例を実施するためには、確かにXAMPPを利用する必要はあるが、タグという基礎中の基礎で苦戦している人に、SQLサーバーとは何か、そして、なぜ、コンピュータにインストールする必要があるのかを説明するのは、さすがに無理があるだろう。
しかし、何よりも残念だったのは、タイミングの悪さだ。リサーチが行われ、執筆が行われた時期とワードプレス2.7がリリースされた時期との間にギャップが生じ、大半のスクリーンショットが既に過去の存在になっているのだ。そして、現在、FeedBurner(フィードバーナー)は、重大な問題を抱えているため、スタッツの追跡ツールとしての魅力が半減してしまっている。さらに、ブログロールに関しては、少なくとも「nofollow」がないものに対しては、ページランクの引き下げの要因となり、望ましい習慣とは言えなくなってしまった。
このような類の問題は、出版サイクルにおいては、ある程度は予想できるが、この本にとっては、すべて大切な要素であり、大きな痛手である。
最後になるが、この本は、(省略しているのかもしれないが)、大事なポイントを少ししか取り上げていない。
- ホスティングサービスを見つける方法について、ほとんど触れられていない。作業の大部分は、ローカルのテストサイトで行われると述べ、良質なウェブホストを見つける方法については、ほとんど説明されていない。
- Digg(ディグ)やReddit(レディット)等のソーシャルニュース・サイト、そして、StumbleUpon(スタンブルアポン)等のソーシャルニュース・サービスに、スポットライトがほとんど当てられていない。数ページしか割いていないのだ。Twitter(ツイッター)、そして、今や嘲笑の対象になっている、ツイッター用のワードプレス・プラグインをインストールする方法ばかりを取り上げている。また、ソーシャルニュースに比べ、Technorati(テクノラティ)をよほど重要視しているようにも思える。
- Windows Live Writer(ウィンドウズ・ライブ・ライター)等、オフラインの編集ツールに関する情報が全く提供されていない。筆者が主張するように、確かにワードプレスの投稿パネルがあれば、大半の作業を実施することが出来るものの、多くのユーザーがオフラインの編集ツールを気に入っており、初心者もワードプレスのエディターよりは、このようなツールを好むはずだ。
上述の要点を省略することが「致命傷」になるとは思えないが、若干、「時代遅れ」感が漂っており、そろそろ第二巻を作成した方がいいのではないかと私は思った。
結論
私にとっても、また、このレビューを読んでいる人にとっても、この本はやさし過ぎるのではないだろうか。ブログヘラルドの読者なら、恐らくワードプレスには既に慣れ親しんでいるはずであり、もっと上級者向けの本に進んだ方が良い結果を得ることが出来るだろう。同程度のボリュームで、ブログのデザイン、収益化、または、プロモーションに的を絞り、より深く踏み込んだ書籍が販売されている。
とは言うものの、ブログを始めたばかりなら、この本から役立つ情報を仕入れることが出来るだろう。
そのため、この本の最大の過ちは、そのタイトルだと言えるだろう。「フォー・ダミーズ」ほど基礎に固執しているわけではないものの、この本に適するオーディエンスには、「フォー・ダミーズ」のようなタイプの本の方が向いているだろう。
この本には、「ワードプレス・フォー・ビジネスブロガーズ」ではなく、「ワードプレス・フォー・ビギナーブロガーズ」または「ワードプレスを使ってブログを始める」と言うタイトルを付けるべきである。
この本は基礎が詰まった概説であり、ビギナーを対象としている。そのため、これからブログを始めようとしている人にとっては、心強い味方になるだろう。
最後に、私はこの本を弁護士の友人にあげるつもりだ。彼なら、もっと有効に活用することが出来るはずだ。文句を言うつもりはないが、タイトルをつける際に、もっとよく考えて欲しかった。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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