2005年5月、ブログヘラルドは、Travel Golf Media(トラベル・ゴルフ・メディア)の訴訟問題(英語)を報じていた。このサイトは、全米のゴルフコースを網羅し、紹介するブログ/レビューサイトであった。そして、このサイトを運営していた企業(2名のブロガーと運営者のロバート・ルイス氏)は、ラスベガスのゴルフコースを貶すレビューを何度か投稿した後、同コースのオーナー、ビリー・ウォルタース氏から名誉毀損で訴えられたのだった。
否定的なレビューに関する議論は、別に珍しくも何ともないが、この件は、これらの否定的なレビューが、広告契約の終了に対する報復であった点で、他の件とは一線を画していた。そして、先月、ついに判決が下され、ジェニファー・トリアッティ判事は、原告の訴えを認め、ゴルフ・コース、そして、ビリー・ウォルタース氏に900万ドルの賠償金を与えた。
Pay-Per-Post (ペイ・パー・ポスト)や有償のレビューサイトは、ブロゴスフィアでは受けいられていないが、有償のレビューのコンセプトは、その弟分であるレビューによる脅迫行為(ライターが一定の料金を支払わせるために、サービスに対して否定的なレビューを投稿する行為)とさほど変わらない。
しかし、大半のブロガーは「ペイ・パー・レビュー」サービスを倫理上の問題と見なしているが、レビューによる脅しは、トラベル・ゴルフ・メディアの件のように、重大な法律問題に発展する可能性があり、ブロガー達には、是非、注意してもらいたい。
背景
トラベル・ゴルフ・メディアの訴訟のレポートを読む限りでは、ルイス氏とウォルター氏は、2005年の2月まで2年間にわたり、広告掲載契約を結んでいたようだ。この契約は、ルイス氏が、ネットワーク内の様々なサイトで、レビューや広告を通してウォルター氏のゴルフコースを紹介すると言う内容であった。
しかし、契約が満期に達する前に、両者の関係が悪化し、ルイス氏は、契約を継続するにあたって、3倍近い料金を要求した。ウォルター氏が更新を断ると、レビューの内容がガラリと変わるようになった。
レビューは、契約が満期を迎える前は、“眺めは最高であり、サンライズ山が背景を演出している”など、ポジティブな内容であったが、契約が切れるや否や、“エクソシストを本気で怖がっているの?”(2005年の5月のレビュー)のように、敵対心むき出しの内容に変わっていった。
ルイス氏は、ウォルター氏と契約を結んでいる間に、ウォルター氏のコースを批判するメッセージが届けられていたものの、ウォルター氏はサイトのスポンサーであったため、レビューには反映させなかったと主張していた。しかし、とある時点で方針を変え、メッセージを配信することに決めたようだ。さらに、ルイス氏は、当該のブログは、提携契約が終了した後に、始めたと主張していた。
しかし、3年半にわたる訴訟バトルがクライマックスを迎え、判事は、ウォルター氏の主張を認め、ルイス氏に対して、900万ドルの損害賠償金の支払いを命じ、トラベル・ゴルフ・メディアの将来に赤信号が灯ることになったのだった。ブロガー達には、この訴訟から、オンラインでの言動、そして、その理由には、十分に注意する必要があると言うことを学んでもらいたい。
シェイクダウン・ジャーナリズム
ルイス氏の行動は、“シェイクダウン・ジャーナリズム”と呼ばれることがある。これは、ジャーナリストが、広告契約等の金銭的なメリットを得ることを条件に、否定的なレビューや情報を差し控えるというものだ。
ブログにおいては、否定的なコメントの検閲、そして、この件のように、否定的なレビューをちらつかせ、脅す行為も含め、様々なケースが考えられる。インターネットは、将来の顧客に大きな影響を与えるため(とりわけ旅行や自動車などの高価なアイテムに対しては)、このような否定的なフィードバクは、事業に大きな損害を与える可能性がある。グーグルをリサーチに利用する人が増えるにつれ、ウェブ・ジャーナリスト達は、購入の決断に対する影響力を高めるようになるのだ。
グッズやサービスに関する意見を述べる際に、ブロガーは大きな保護を受けることが出来る。コメントやゲストブログのエントリに対しては、Communications Decency Act(通信品位法)のセクション230が、名誉毀損訴訟からブロガーを守ってくれる。さらに、名誉毀損法は、基本的に、意見を表現する権利を守っている。しかし、これらは単なる文章であり、誤解が生じると、名誉毀損問題に発展する可能性があることを忘れてもらいたくはない。
やはり、関係のない事柄に対して復讐や報復を行うために、否定的なレビューを綴ってしまうと、名誉毀損等の法的な問題が発生してしまう。携帯電話会社が劣悪なサービスを提供していると本気で思い、否定的なレビューを配信するぐらいなら、許容の範囲内と言えるが、自分のサイトに広告を掲載しないことが理由なら、納得してもらえないだろう。
このようなケースはとても稀ではあるが、ブロガー達はこのような法律の抜け穴には気をつけるべきであり、ルイス氏の訴訟が指摘しているように、大変な額のお金を失う危険もある。
結論
最終的に行き着くところは、敬意と常識である。大半の法的な問題は、他人に敬意を払い、自分の行動を見直すことで、回避することが出来るはずだ。
法律は、良識の欠落、相互協力の決裂、そして、問題の解決に仲裁者が必要な場合を見据えて作成されている。このような状況は、幸いにも稀であり、良識に従っていれば、ほぼ間違いなく避けることが出来るだろう。
要するに、ウェブコミュニティの一員として、適切な行動をとっていれば、このような懸念を抱く必要はないのだ。法律を学び、自分の権利を把握することは重要だが、自分がされて嫌なことを他人にしていなければ、訴えられ、憂き目に遭う可能性は、ゼロに近い。
正直、フェア、そして、安全な行動を。とてもシンプルなことだ。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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