昨年、Virgin Mobile Australia(バージン・モバイル・オーストラリア)は、広告キャンペーンにCreative Commons(クリエイティブ・コモンズ)のライセンスが供与されたイメージを利用する決断を下した。「Are You With Us Or What(君は味方、それとも?)」というタイトルがつけられた、このキャンペーンは、バージンの携帯電話サービスのタグラインと宣伝が表示されたFlickr(フリッカー)の写真を利用していた。
写真の大半は自動車事故、墓地、クリスマスのデコレーションなど人間とは直接関係のないテーマであったが、ある広告に法的な問題が見つかり、訴訟問題に発展することになった。
当該の広告には、ピースサインをしていたアリソン・チャン氏が映っていた。ジャスティン・ウォン氏が撮影したこの写真は、Creative Commons(クリエイティブ・コモンズ)の帰属ライセンスを介した、フリッカーの“ライセンスを選択”機能を利用し、ラインセンスが供与されており、商業的な利用も許可されていた。
問題は、フォトグラファー自身は、彼のラインセンスを通して商業的な利用を認めているものの(後に規約を理解していなかったと立場を変えることなる)、このライセンスは、作品自体の著作権のみを対象にしていることである。チャン氏、そして、同氏の両親のどちらからも免責同意書を交わしているわけではなく、そのため、チャン氏のプライバシーを潜在的に侵害している可能性があったのだ。
その結果、チャン氏の両親は、彼女の代わりに訴訟を起こすことになった。この件は現在も継続中である。
それでは、一体何がいけなかったのだろうか?そして、同様の失敗を避けるには、何をすればいいのだろうか?これらの疑問に対する答は、いたってシンプルである。
クリエイティブ・コモンズの制限
クリエイティブ・コモンズは、作品の共有を薦めるためのライセンス・ツールとしては素晴らしいものの、有効なのは著作権に関してのみである。プライバシーの権利など、他の権利に関しては、ライセンスの範囲を超えてしまうため、提供することは出来ない。そのため、当該の人物はライセンス契約の対象ではなかったのだ。
要するに、クリエイティブ・コモンズは、作品を自由に利用するために必要な権利を常に与えてくれるわけではない。作品を実際に配信する前に、とりわけ写真や動画に関しては、他にも許可を得る要素があるかもしれないのだ。
しかし、プライバシーの問題は、著作権や名誉毀損の問題ほど一般的ではない。なぜなら、ウェブ上で交換されている事柄の多くは、すでに公開されているからだ。もし、誰かが何かをウェブに投稿し、それを他の人が自分のサイトに掲載すれば、著作権の侵害にはなるものの、オリジナルの作者が作品に対するアクセスを制限する努力の跡が見られなければ、プライバシーの侵害と見なさることはまずない。
現実の世界の問題がウェブに及んでも、プライバシーが問題になることはほとんどない。家やトイレなど、十分にプライバシーを保障されるべきスペースを侵害していれば話は別だが、普通に写真を撮影すること自体は問題ではなく、また、その写真をウェブに掲載する行為も、通常はプライバシーの侵害とは見なされない。公共の場所で誰かの写真を撮り、ウェブを含め、別の公共の場所に掲載すること自体は、その人物のプライバシーを侵害したことにはならないのだ。
しかし、その写真を商業的な目的で利用すると、問題が発生する。ほとんどの州で、イメージを広告および写真の販売を含め、商業的な目的で利用する行為は、たとえ公共の場でその写真を撮影したとしても、その人物の権利を侵害することになると規定している。
そのため、プロのフォトグラファーは、被写体を撮影する前に免責同意書にサインを貰い、広告主や企業は、自分達で撮影していないイメージに対しては、慎重な姿勢で取り扱うのだ。
これらの問題を考慮し、クリエティブ・コモンズのラインセンスが供与されたイメージを商業的な目的で利用する前には、利用に対して、よく考えてみるべきである。しかし、この問題は、論理的な対策を少し講じるだけで、簡単に解決することが可能である。
クリエイティブ・コモンズを鵜呑みにしない
商業的な目的でイメージや動画を探すときは、商業利用のラインセンスが供与された作品をコピーし、掲載する前に、幾つかのシンプルなルールを思い出すことが重要だ。
- 写真に人が収まっている作品は出来るだけ避ける。とりわけ特定できる場合は、危険だ。
- そのようなイメージを利用する必要があるときは、撮影した人物が、相応の権利を得ていると勝手に思い込むのではなく、連絡を取り、免責同意書のコピーを貰おう。
- もし、免責同意書が供与されていない場合や、その書類が不適切な場合は、モデルに直接連絡を取り、同意を得よう。
このような法的な工作に対しては、眉をひそめて、「このような交渉を避けるためにクリエイティブ・コモンズが策定された」と唱える人もいるだろう。しかし、適切なラインセンスが存在しなければ、上述の手順を踏み、著作権とイメージの権利を獲得しなければならないことを覚えておこう。
このような稀なケースにおいては、クリエイティブ・コモンズだけでは、完璧とは言い切れない場合もあるのだ。
結論
クリエイティブ・コモンズが、広告代理店や商業利用を求めるユーザーから敬遠されている現状には、理由がある。たとえ、著作権に対する適切な認可が下りていると考えても、ライセンスする権利がない当事者が作品のライセンスを供与していても意味はなく、また、他にも考慮するべき権利は存在するためだ。
自分で作品を作って、すべてのラインセンス・プロセスを自分で管理したり、あるいは、すべての事務処理を済ませているプロのメディア企業から購入する方が、簡単且つ安く済ませることが出来る場合もある。
クリエイティブ・コモンズを含め、著作権のラインセンス供与キャンペーンは確かに素晴らしいが、すべての問題を解決することが出来るわけではない。そして、商業利用を試みるユーザー達は、その問題に注意するべき必要があり、追加的な対策を講じなければならない事もあるのだ。
注記: 全国的に統一され、世界の大多数の国々と共通している著作権法とは違い、プライバシー法は州や郡によって異なる。そのため、人物が映っている写真や動画を撮影し、ウェブに掲載する前に、その地域の法規を確認することを強く勧める。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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