週末は、著作権関連のニュースは乏しい。裁判所は閉廷し、大多数のウェブホストは48時間にわたって休みを取る。そのため、何かが起きる可能性はとても低い。
しかし、先週末は例外であった。RSSアグリゲーション・サービスのShyftr(シフトル)、そして、そのRSSコンテンツを再配信する機能に対して、多くの議論が展開されていたのだ。ロバート・スコブルやルイス・グレイが、このサービスを支持する一方で、トニー・ハンやラウール・ポップは明確に反対の立場を表明していた。
結局、シフトルは一歩引き下がり、ポリシーを変更したものの、すでに望ましくない注目を浴び、多数の怒りのエントリが投稿されていた。
しかし、現在は、若干ほとぼりが冷めたため、一体何が起こったのか、そして、同じようなマーケットに参入しようと思っているブロガーや企業にとって、この件がどのような意味を持つのかについて、考えてみようと思う。
シフトル問題
Share Your Feeds Togetherの頭文字を取ったShyftr(シフトル)は、自らをRSSリーディングとソーシャル・ネットワーキングのミックスだと説明している。同サイトによると、このサービスの目的は、ユーザーが、“シフトルのネットワークを通じて直接届けられたコンテンツを検索した上で、そして、他のユーザーのフィードリストを閲覧し、彼らが追跡しているフィードを通じて、フィードを見つける”ことができるようにすることである。
しかし、ソーシャルRSSリーディングに関するアイデアは、Streamy(ストリーミー)等のサイトも提供しているが、シフトルの、全文RSSフィードを再配信し、オリジナルのサイトではなく、フィード上にコメントを残せるようにする手法が、多くのブロガーのフェアプレー精神に触れてしまったのだ。
スクレイプ(フィード盗用)やRSSの再配信という活動は、スパムブログと関連付けられることが多く、見たところ合法的なRSSリーダーのシフトルと言えども、この活動に携わることで、多くのブロガーの怒りを買ってしまった。その結果、ラウール・ポップに対して、もし、シフトルがコンテンツを削除しない場合は、DMCA通知状を送りつけて脅かすべきだと言いだすブロガーが現れる事態にまで発展した。
最終的に、シフトル側が折れ、“…私達は当該のフォーマットを変更することに決めました。今後は、タイトル、作者名、そして、読者の知らないところで議論が交わされているアイテムの日付のみを表示します。私達は、コンテンツの投稿者の方々を心から尊敬しており、不安を煽る意図はありませんでした。”と述べた。
その結果、マシュー・イングラムを含め、多くの批判は止み、この問題は、全体的に沈静化したようだ。
法的な問題
このストーリーは多数の問題が絡み合っている。例えば、RSSフィード、とりわけ全文のフィードを配信することで、黙示のライセンスを、それぞれのサイトでそのフィードを再配信しようとする人達に提示することになるか否かについて、何度も議論されていた
多くのコメンターが、特にトニーの投稿を読む限りでは、黙示のライセンスを提示することになると感じているようだ。要するに、シフトルが、当該ブロガーの黙示のライセンスを介して、フル・コンテンツを再配信していたことになる。しかし、この意見に反論する人達もいた。
著作権専門の弁護士、エヴァン・D.ブラウンもその一人で、同氏はこの件に関するエントリのなかで、同じような問題が取り上げられていた、1990年の判例でも、黙示のライセンスが認められており、エリック・ベルリンと言う名のブロガーが以前投稿していたエントリにも触れていた。
その他の弁護士の意見も考慮すると、少なくとも、このような暗黙のライセンスがあったと仮定するのは無理があるようだ。しかし、たとえ存在したとしても、実際のライセンスを提示すれば、形勢を逆転することができるのだ。つまり、ブロガーには、グーグルがインデックスを辞退するサイトをインデックスすることができないように、このような類の使われ方を拒否する権利があるのだ。
しかし、RSSフィードの黙示のライセンスに関する法廷の決定が下されるまでは、このような問題が再燃するのは目に見えており、より頻繁に発生することになるだろう。
より大きな視点でこの問題を捉える
しかし、上述の問題よりも、さらに白熱していた議論があった。それは、ブログはどのように消化されるべきかを問う議論であった。スコブルを始め、多くのブロガーは、コンテンツが掲載される場所が多ければ、多いほどいいという立場を取っていたが、読者の関心を優先しつつも、ある程度自分で管理したいという立場を取るブロガーもいた。
しかし、RSSフィードの再配信に関する議論は、賛成反対を問わず、非常に加熱していたが、ブログは単なるウェブページとは異なり、多くの場合、サイト以外の場所でも楽しんでもらうことを意図しているという意見には、双方が同意していた。
実際に、議論を観察すると、ブロガー達は引き続き全文フィードを読者に届けたいものの、シフトルのようなサービスが再配信することには納得ができないようであった。
どうやら、多くのブロガーは、RSSリーダーでさえ種類は様々であり、ブログを読む行為が、分散化していることを認めているようだ。しかし、問題視されていたのは、他のサイトが購読者に対してだけでなく、公の場で堂々と全文のフィードを再配信するべきか否かであった。
この議論はいまだに収拾がついておらず、しばらくはこの状態が続きそうだ。
必要なこと
しかし、万が一ブログ・コミュニティがある程度合意に達しても、反対する人は後を絶たないだろう。これはブロガー個人の選択の問題であり、その選択は尊重されるべきである。
問題は、シフトルのような企業が、誰が再配信を認め、誰が認めていないのかを、予測できないことである。彼らはすべてのブロガーから直接許可をもらわなければならなくなる。
しかし、許可とライセンス契約を取りつける行為は、著作権関連の仕事に携わっている人にとってはお馴染みの作業ではあるが、Creative Commons(クリエイティブ・コモンズ)、メタタグ、そして、robots.txtが主役の時代では、どうしても時代遅れに映ってしまうのだ。
全会一致の合意を取り付けるよりも、ブロガー、そして、その他のRSS配信者が、それぞれのRSSフィードに対する再配信を認めるか否かを表明することができる手段が求められている。企業が、わざわざ一人一人から許可を得るために、奔走しなくても済むようなシステムが必要である。検索エンジンがそんなことをしなければならないことになったら、どうなってしまうか想像して欲しい。シフトルのようなサービスを好まないブロガーが、コンテンツを誤った方法で利用されてしまうのではないかと、心配しなくても済むようなシステムが必要なのだ。
このようなシステムが構築されれば、robots.txtが、正当なスパイダーと、怪しいスパイダーを見分けることができるように、正当なRSS再配信業者と、スパム・ブロガーを分離し、責任感を持って、RSSを利用してもらえるようになるだろう。
一番素晴らしい効果は、ブロガーの意見を把握することができるようになるため、RSSの再配信に関する対話をスピードアップし、それぞれが下した決断の理由を積極的に説明してもらえるようになることである。シフトルのようなサイトが、注目を集め、議論が加熱するのをただ単に待つよりも、遙かに効率が良いはずだ。
結論
個人的には、シフトルが一線を越えてしまったという意見に同意する。全文のRSSフィードを再配信し、追跡プログラムで読者としてカウントされいない、購読していない人達、そして検索エンジンにまでフィードも届けてしまうことで、コンテンツのクリエイターを困らせていたことは事実である。彼らが、ポリシーを変更したのは正解であり、すぐに意見を受け入れてくれたことに対して、感謝している。
しかし、私は、ここ数日間の議論が“健康的”だと指摘したシフトルの意見にも同調している。週末の大半をホストの転向作業に費やしていたため、土曜日の段階では議論に参加することができなかったものの、質の高い議論と対話が展開され、ブロガーが、たとえ作品を販売しなくても、コンテンツを真剣に取り扱い、その使われ方に対して、大きな関心を寄せていることが判明した。
また、ブロガーが、全文のRSSフィードを提供する理由も多岐にわたることが分かった。短縮したフィードを提供するというアイデアは、常連の読者に迷惑をかけてしまうため、多くのブロガーは認めていない。全文フィードは、思いのままに全面的に再配信させることを目的にしているのではなく、少なくとも大半のブロガーにとっては、意思表示する手段が必要とされていることは明らかである。
結局、私達には2つの選択肢しか与えられていないことになる。RSSフィードがどのように利用されるべきかという疑問に対して、法廷が答えを出すまで待つか、テクノロジーを利用して、ブロガーが意思表示できるようにするかのどちらかの選択を迫られることになる。
明らかに、ライセンス契約とRSSフィードを見直すべき時期に差しかかっている。シフトル問題が好転し、ブロガー達が自分の意思を表現することができる現実的な手段が構築され、今後は、このような類の問題を回避することができるようになることを願う。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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