コンテンツが盗用されていることに気づくと、過剰に反応してしまう人が多い。そうなると、まずは、フィードを“全文配信”から、“部分的な配信”に変更し、スパマーへのコンテンツの流れを食い止めようとする。
しかし、そうすることで、正当な購読者がサイトのコンテンツにアクセスする際の弊害となり、サイトにとってはマイナスに作用することが多い。最悪の場合、スクレイパーの影響を抑えることができても、問題自体は解決されず、コンテンツに再度目的を持たせてくれる、大多数の人たちに対する弊害を緩和することにも失敗してしまうのだ。
要するに、フィードを省略することで、読者をサイトから遠ざけてしまうだけでなく、コンテンツ狩りやスパムブログの問題を解決することすらできないのだ。
狙い
部分的なフィードを奨励する人達は、「なぜコンテンツの一部のみをフィードで配信するのか?」と言う疑問に対して、2つのシンプルな理由を挙げて説明している。
1つ目の理由は、コンテンツすべてを閲覧するには、サイトを訪れなければいけないようにすることで、サイト自体へのトラフィックを増やし、交流を育む狙いがあるというものだ。しかし、これでは、多くの読者が部分的なフィードを拒んでいる事実、そして、興味深いヘッドライン、および、コメントを残したいという気持ちが、クリックスルーを高める要因だと言う事実を無視していることになる。クリックスルーを高めるのは、冒頭のパラグラフ以降の文章を読むためではないのだ。
次に、さらに無理がある2つ目の理由を紹介しよう。それは、コンテンツの1部分のみを配信することで、スクレイパーがフィード自体からコンテンツを取り込もうとしても、手に入れることができるのはほんの数行のみであり、作品全体を取り込むことができないというものだ。利用できるコンテンツを制限することで、まずスパマーを意気消沈させ、そうなれば彼らがブログに与えるダメージは減り、受ける見返りも減るという理論だ。
しかし、この理論の流れは、スクレイパーがコンテンツを見つける仕組み、そして、利用する仕組みを無視している。スパマーは、悪用する記事やフィードを、その長さを基準に探しているのではなく、キーワードやフレーズを検知する自動的なプロセスを介して探し出しているのだ。また、スパマーは、闇の市場で出回り、売買されているメール・リストのような、巨大なRSSリストからRSSフィードを手に入れることもできるのだ。
いずれにせよ、コンテンツを取り込む際に、スパマー達は、フィードの長さを重要視しているわけではない。
また、、フィードを省略するだけでは、スパマーがコンテンツから得るメリットを制限することにもならない。一つには、スパマーは通常キーワードに狙いを定めているため、フィードを省略することで、キーワードの密度が高まり、実際にはスパマーを助けてしまう可能性があるからだ。そして、多くのスパマーは、コンテンツの重複による罰則を回避するため、そして、著作権の責任を減少させるために、すくい取ったコンテンツを自ら省略しているからだ。
よって、スパマーが独自にフィードを省略しているなら、ブロガーがフィードを省略しても大して彼らにダメージを与えることはできないのだ。
墓穴を掘る
フィードを省略することで上述の制限が発生する一方で、コンテンツをある程度保護することができる可能性もある。しかし、その結果、大きなツケを払うことになってしまうだろう。
様々な調査が実施されており、その結果、ユーザーは圧倒的に全文が掲載されているフィードを好むことが判明している。短いフィードなら購読しないと言う人までいる。また、80万本ものフィードを管理するFeedBurner(フィードバーナー)によると、部分的なフィードと全体的なフィードのクリックスルー率は、ほとんど変わらないようだ。
つまり、フィードを省略することで、フィードの読者を多数失うことになり、そして、残った購読者においても、クリックスルー率は、全体的なフィードを提供していた頃と変わらないと言うことだ。フィードを省略することで、サイトと読者が被害を被ることになるだろう。
基本的に、フィードを省略することで得られるメリットは、とりわけ現在、全文をフィードで提供している場合、デメリットに打ち消されてしまう可能性が高い。コンテンツ盗用は、対処するべき重大な問題ではあるものの、サイトを妨げる価値はないのだ。
例外
だからと言って、フィードの省略が絶対に認められないというわけではない。大抵の場合は、省略する価値がないと言いたいのだ。
1つ目の例外は、新しい読者の獲得や現在の読者の維持を、RSSフィードに頼っていないサイトである。こういったサイトは、フィードを省略しても、それほど大きな損害を受けることはない。例えば、大多数の大手マスコミは、部分的なフィードを配信しているにも関わらず、大きな影響を受けているようには思えない。
しかし、これらのサイトは知名度が抜群に高く、オーディエンスの大部分はRSSを使っていない人達で構成されている。大半のブログは、彼らのように一瞬で分かってもらえるわけではなく、また、読者の多くはRSSを熟知していることからも、適切なフィードが期待され、また、圧倒的に好まれているのだ。
2つ目の例外は、ブログヘラルドのように、ずっと前から部分的なフィードを利用しているサイトだ。このような場合は、オーディエンスが部分的なフィードに慣れており、特に懸念を抱いているわけではない。これらのサイトにとっては、たとえポジティブに思えるものであっても、抜本的な変化は、読者に迷惑をかけてしまう可能性がある。メインのフィードが切り替わり、全文用の2つ目のフィードを設定することになっても、十分に読者から注目を集めることはできないだろう。
いずれにせよ、RSSフィードを省略するつもりなら、サイトのプロモーションにおいて、RSSフィードがどれほどの役目を担っているのか、そして、読者の大半を失うことで、受ける打撃がどれほど大きいのかを特定するべきである。
不安になるぐらいなら、RSSフィードを省略する価値はない。
結論
言うまでもなく、RSS省略の一番大きな問題は、たった数人の悪者を妨害するために、99.9%の正当なフィードの読者を懲らしめてしまうことだ。また、クリックスルーを高めることができるという誤った希望を抱いて、RSSの読者を遠ざけてしまうことも馬鹿げている。そうではなく、フィード自体を収益化につなげ、フィード・オンリーの読者を潜在的な収益化の流れに組み込むことができる可能性もあるのだ。
やはり、フィードを省略する妥当な理由は見当たらない。しかし、毎日のようにブロガー達はフィードを省略する決断を下しており 、何らかの方法でサイトの役に立つと信じているようだ。しかし、忠実な読者から寄せられるコメントを読めば、きっと落胆することになるだろう。
しかし、正反対の行動を起こすブロガーも増えている。これは朗報だ。彼らは、全文のフィードに切り替えるか、フィードの配信をこれから始めるかのどちらかに当てはまり、フィードを全面的に公開することに決めた人達である。
しかし、ウェブにとって大事なことは、メディアを選択していくことである。読者に対して、コンテンツを楽しむ時間と方法に関する選択肢を、最大限に与えることができるブロガーが、これらの選択肢を用意していないブロガーに勝利するのだ。
サイトの動向を知らせる最も簡単なツールを遮断することで、悪者に対処する方法や閲覧者から収益を得る方法よりも、効果の高い方法は存在する。読者を大事にするなら、態度で示し、一度にドアを閉めるのではなく、上述の選択肢を試すことから始めよう。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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