先週の金曜日、Techdirt(テクダート)に、私を含め、ウェブ上の著作権問題を追いかけているブロガー達に衝撃を与える記事が投稿された。プレスリリースで確認したところ、ある法律事務所が、利用停止警告状の著作権を確立し、他者が利用できないように、この権利を振りかざす可能性があるのだ。
警告状の配信戦略は、ウェブ上では頻繁に行われている。大企業に苛められているサイトは、この手法を活用し、法廷に持ち込まずに、形勢を逆転してきたのだ。そして、Chilling Effects(チリング・エフェクト)は、DMCAの削除要請状と同様に、警告状を配信する目的で、設立されたのだ。この手法は不自然な使われ方をされることがあり、自分達にたてつく人達をバカにするために、大量の警告状を配信してきたThe Pirate Bay(ザ・プライベート・ベイ)はその一例だ。
しかし、騒ぎが収まるにつれ、そして、この件の詳細が明らかになるにつれて、私達は安堵の溜息をつけるようになった。この決定への徹底的な検証が始まり、今回の法廷の裁定は、不透明であり、重大な決定とは程遠かったことが判明したのだ。
背景
一般的な解釈とは裏腹に、今回の裁決は、Dozier Law Firm(ドジアー法律事務所)とPublic Citizen(パブリック・シチズン)の一件とは無関係であった。リンクを張ったプレスリリースが、ドジアー法律事務所とジョン・W・ドジアー・Jr氏が積極的に裁決を宣伝していたため、混乱が生じたのだ。
そうではなく、このケースの主役は、43rdStateBlue.com(43rdステイトブルードットコム:43SB)というサイト、健康機グッズを販売している、Melaleuca(メラルーカ)という企業、そして、同企業のCEO、フランク・バンデルスルートであった。
“トム・ペイン”という名の43SBのレギュラー・ユーザーが、メラルーカとバンデルスートの名誉を傷つけたとされるコメントを投稿し、同企業は警告状を送付した。サイトは要請に従ったが、このトピックに関するFAQによると、彼らは警告状のコピーを掲載し、記事が検閲された理由を説明した。裁決によると、彼らは警告状をスキャンし、“d2″というスクリーン・ネームを利用していたようだ。
メラルーカは、この投稿が著作権違反にあたると主張し、“d2″と“トム・ペイン”に関する情報を得るため、DMCA(17 U.S.C. § 512(h)に基づき、召喚を求めたのだ。メラルーカ側はこの2人を同一人物と見ているようだ。彼らは43SBに召喚状を送りつけたが、拒否された。
11月の裁決では、判事は召喚を拒否する申し立てを、半分認め、そして、半分否決した。判事は、著作権違反に対する明白な証拠が揃っているため、サイトは“d2″に関する情報を提供する義務があるが、“トム・ペイン”に関しては、推測の範囲を出ず、2人が同一人物だという証拠がないため、情報を提供しなくてもよいという決定を下したのだ。
現在、この件が訴訟に発展することはなく、“トム・ペイン”に対しても、43SBに対しても、特に申し立ては行われていない。
Hubbub(ハバブ)の問題
この訴訟は、大きな話題を呼んでいる。その要因は、リンクを張ったTechdirt(テクダート)に投稿された記事と参照したプレス・リリースによるところが大きい。しかしながら、大事なポイントが見落とされてしまっている。
- この問題は、ドジアー法律事務所とは無関係であり、警告状に関する著作権を主張した彼らの有名な訴訟とも関係がない。
- 判事は実際には警告状に関する著作権の有効性に対して、直接裁決を下したわけではなく、召喚に対する要件を満たしていることを認めたに過ぎない。
- 判事の決定は、損害賠償にはまったく触れず、公正利用の問題さえ検証していない。実際に、判事は、“法廷は、この召喚を否決するかどうかを決定する際に、著作権違反の主張の実体を詳細にわたり分析することはない”と述べていたのだ。
- この記事を綴っている時点で、43SBに対して何の申し立ても行われていないため、侵害の主張は未だに試されていないことになる。
要するに、警告状を投稿したい人は肩透かしを食らったようなものだ。警告状をサイトに投稿すると、自分の情報が強引に公開されてしまう可能性があるということが判明したに過ぎない。公正利用問題に関しては全く触れられていないので、実際の訴訟での展開を予想することができない。
結局、ほとんど状況は変わらず、この問題について有意義な結論を下すことは未だ出来ないのだ。
ベスト・プラクティス
警告状を受け取ったら、優れた弁護士に相談し、無視しても問題ないというアドバイスを受けることができるなら話は違ってくるが、そうでなければ、できるだけ素早く要求に従うことが望ましい。状況によっては、低料金あるいは無料で相談に乗ってくれる弁護士は数多くいる可能性があり、まずはElectronic Frontier Foundation(電子フロンティア財団)をチェックすることを私は薦める。
警告状の掲載に関しては、著作権保護されており、全文をすべて掲載してしまうと侵害に当たり、訴えられる可能性があると考えるようにしておくと賢明だ。そうは言っても、関連する部分のみを掲載したり、自分のコメントを加えたり、または、商業目的以外で利用していることを確認したりすることで、侵害のレベルを低減することができる。
警告状を送付してきた相手が訴訟を起こしたりはしないと言い切ることも、はたまた、法廷に持ち込まれても、不利になるとも言い切ることはできないが、マテリアルの利用が“公正利用”に当たることを全力で証明することで、双方のリスクを軽減することができる。
つまり、警告状を、著作権保護された作品として取り扱う必要がある。また、既に別の侵害の件で頭に血がのぼっている人から送られてきていることも忘れてはいけない。結局、この通知状を送ってくる人物や企業を刺激してしまうと、次から次へと攻撃を仕掛けられてしまう。
結論
私の経験では、警告状を投稿することに企業が反対するのは、彼らが裏工作に奔走しているときだ。とりわけ、企業が論理および法律の範囲内で行動しているときは、警告状が投稿されると敏感に反応する傾向がある。
Chilling Effects(チリング・エフェクツ)のウェブサイトに、この証拠が掲載されている。彼らのデータベースには、2,000通もの通知状が掲載されており、その多くにリンクが張られており、簡単に参照することができる。この分野の法律に興味がある人にとっては、極上のリソースであり、これらの問題に対して、大いに活用することができるはずだ。
しかし、5年待てば、このサイトはさらにパワーアップしているだろう。
警告状を厳格に著作権保護する目的は、警告状のクリエティブな表現を保護することではなく、ストライサンド効果の確立を防ぐためである。警告状を大々的に公開してしまうと、オリジナルの侵害に対する脅威が、それが何にせよ、別の面で、必要以上に広がってしまうのだ。
ストライサンド効果は、悪用されてしまう危険性があり、それゆえ、警告状の著作権保護の厳格化にも利用される可能性もある。最終的に、訴訟の実体を鑑み、適用する法律を決めるのは、判事や陪審員なのだ。
しかし、今まで、彼らがこの問題に決断を下したことはなく、その日がやってくるまでは、予防として、安全を第一に考え、常識に則った行動を取るべきである。
ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。
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