Sunday, 12 October, 2008

ブロゴスフィア全体に影響する訴訟: コットン vs TVXフィルムズ

10月 25日 at 5:30 pm by ジョナサン ベイリー -

多くの写真家が、雑誌、DVD、書籍の表紙に自分の写真が使われることを夢見ている。同様に、多くのモデルが、全国のポスターの掲示板に自分の姿が映し出されることを夢見ている。

しかし、ララ・ジェイド・コットンが夢見ていたデビューは現実とはかけ離れていた。 

今年の五月、コットンは14歳の時に撮影した自分の写真が、「Body Magic(ボディー・マジック)」というタイトルのアダルトDVDの表紙に掲載されていたことを発見した。 

7月、タンパのリチャード・ハリソンという弁護士の助けを借り、コットンはTVXフィルムに対して権利の侵害を訴える訴訟を起こした。その後、すぐにPR上の失敗と市民の怒りの根源であったこの件は、ブロゴスフィアと写真の世界に深刻な影響を与えかねない著作権訴訟に発展したのだった。

背景

ララ・ジェイド・コットン、通称ララ・ジェイドは英国出身の18歳のプロの写真家である。ここ数年の間に、彼女の作品はSNAP Magazine(SNAPマガジン)やWhat Digital Magazine(ワット・デジタル・マガジン)等の雑誌に掲載されてきた。

しかし、著作権専門の弁護士に相談するきっかけとなったのは初期の作品であった。14歳の時、コットンは、2枚の赤いカーテンの間でシルクハットをかぶって自らをモデルとして写真を撮影した。そして「No Way Out(ノー・ウェイ・アウト)」というタイトルをつけて、オンラインの複数のアカウントに掲載した。 

次に起こった出来事は未だに明らかになっていない。TVXメディアによると、彼らは別の企業(訴訟では明らかにされていない)から写真を取得し、著作権を保有していると思っていたそうだ。その後、その写真を「ボディ・マジック」の再発売分の表紙に掲載した。著作権がコットン側にあることを発見したのはその後だったようだ。 

しかし、訴状によると、コットンがTVXに対してこの問題を問いただそうとしたところ、邪険に扱われたそうだ。2月、TVXのボブ・バージから次のような内容のメールが送られてきたようだ。 

「この写真から損害賠償をせしめることは出来ない。この問題は弁護士に任せることにした。グラフィック担当の企業によると、インターネット上で取得したこの写真はパブリックドメインになっていたそうだ。初めから知っていたのだろう。見事な芝居だったよ。それでも君の写真は使わないことに決めたよ。しかし、君の苦情が原因ではない。君の写真はフィルムに何の価値ももたらさないからだ。」 [すべて原文通り]

5月、問題を解決することが出来ない状況に苛立ち、彼女はこの問題を綴った記事をdeviantArt(デビアントアート)のアカウントに投稿した。支援を呼びかける声は継続的に寄せられるものの、弁護士を見つけることはできなかった。これはこの件が国内にとどまる問題ではなかったこと、そして損害の程度が低い可能性が高かったことが原因である。 

それでも1ヶ月ほど経ってから、ハリソン弁護士がこの問題に取り組むことになった。ハリソンはTVXフィルムが未だに彼女の写真を利用していることを証明するために、DVDを数枚購入した。しかし商品の表紙は変更されていた。万事休すかと思われたが、一週間近く経ってからケースを空けると、DVD自体に写真が印刷されていることを発見した。 

この発見の直後、6月下旬、ハリソンはコットンの代理として、著作権の侵害、写真の不正使用、そして、その他の複数の不法行為に対する賠償を求めて、タンパで訴えを起こした。

現状

この訴訟はまだ始まったばかりだ。訴状が提出されてから3ヶ月近く経つが、TVXがどのような対応をするのか見守っているところだ。彼らは管轄の違いを理由に棄却の申し立てを行ったが、ハリソンが列挙した容疑に関しては、まったく触れていない。 

しかし、進展が遅いのはなにもこの訴訟に限ったことではない。TVX側が動き出し、隠されてきた事実が明らかになれば、詳細を把握することができるようになるだろう。

問題点

ブロガー、写真家、あるいはその両方の顔を持っているなら、この訴訟は他人事では済まされない。原告の心情を察して、感情的になる気持ちはよく分かるが、重要な法律の問題を見過ごしてはいけない。 

まず、この訴訟に関しては、明らかに国際的、管轄的な問題がある。コットンは英国に住んでおり、TVXビデオはヒューストンを拠点に営業している。そして訴訟はフロリダのタンパで起こされたのだ。インターネット上で行われている著作権の侵害に対応するときに最も厄介なのが、外国の盗用者を訴えるには、通常、その国に行かなければならないことだ。この分野に関しては複数の判例があるものの、国際的な法律はいまだに不透明であり、この訴訟が明らかにしてくれる可能性がある。 

また、コットンがタンパで訴訟を起こすことができるのなら、侵害をしている企業や個人が国内の別の場所にいるケースにも追い風となるだろう。これは著作権侵害の訴訟を起こす側の負担を大きく減らすだけでなく、訴訟に臨む被告にも同様の負担を背負わせることができるようになる。 

これらの問題はTVXが全国を股にかけて事業を展開しているため、いくらか不透明になってしまう。しかし管轄は私の専門外なので、弁護士の方々に任せておこう。 

しかし、これよりも大きな問題がある。商業的な名目で作品を利用された場合の対応と、要求する損害賠償の金額だ。TVXフィルムズはDVDを販売するために写真を利用したが、DVD販売のどの部分がコットンの作品に起因しているのかは謎であり、懲罰的な損害賠償としていくら請求することができるのかも謎である。    
最後に、この訴訟の事実関係によっては、第三者の責任問題にまで発展する可能性がある。もしTVXフィルムが本当に別の企業から写真を取得し、著作権を保持していると信じていたのなら、真実を発見する以前の損害にまで彼らは賠償する責任があるのだろうか? 

これは、ゲストブロガーや編集者が管理するユーザーの投稿を含め、他人からアイテムを取得しているブロガーやウェブマスターにも大きな影響を与える可能性がある。DMCAはユーザーの指示でウェブにコンテンツを投稿した人物は保護するものの、コンテンツにある程度関わっている人は、この訴訟に着目し、詳細を見守っていく必要があるだろう。

裁決を左右するポイント

管轄の問題が最優先されるはずだ。もしこれらの問題が認められるか、あるいは正しい管轄の裁判所で再び訴訟が起こされれば、その他の山積する問題にも着手されていくはずだ。 

まず、TVXフィルムズは悪意を持って行動したのか、あるいはただ単に注意を怠っただけだったのだろうか?第三者の企業の役割は何だったのだろうか?彼らは一体何者なのだろうか?

また、DVD一枚の売上につき、写真の価値はいくらなのだろうか?そして損害賠償としていくら請求することができるのだろうか?DVDがポルノだったことが何かしら影響を及ぼすのだろうか? 

これらの疑問は判事に委ねられ、この件に対する個人的な意見に大きく左右されるだろう。著作権法には、解釈が様々で、適切に問題が解決されるまでに、複数の判決を考慮する必要がある分野がいくつもある。

この訴訟で判事に影響を与える要素が何であるにせよ、ご存知の通り、裁決が議論の前の推論に基づいて下される可能性が高い。 

今後の展開

訴訟管轄の問題がこの訴訟を台無しにしてしまう可能性が高い。会社がテキサス州に存在するにも関わらず、タンパで訴えが起こされたという事実は明らかに問題がある。これを理由に投げ出され、再び訴えを起こすか、諦めるのかのいずれかの選択を迫られることになるだろう。 

しかし、それでは決して満足のいく結末とは言えない。コットン本人にとっても、あるいは正義を盾に抗議をした一般の人達にとっても納得がいかないはずだ。このような訴訟が事務的な理由で投げ出されてしまう現実に苛立ちを感じてしまうが、徹底的に対抗するべきである。 

しかし、もしこの訴訟がつまづき、事務的な理由で葬られてしまっても、正当性を主張する望みがなくなるわけではない。TVXフィルムズは他にも2件著作権を侵害している疑いが持たれており、どちらの写真家も徹底的に戦う姿勢を見せているのだ。 

それでも、もしコットンの訴訟が事前の問題をクリアすることが出来れば、長期間にわたって一進一退の展開が続き、卑しむべき詳細が明らかになっていくだろう。全世界がTVXフィルムズ、そしてポルノ業界全体の内部構造を熟知する日がやってくるのだ。 

和解という結果では終わって欲しくない。もし和解に持ち込まれるなら、決して安易な結論は出してもらいたくない。法廷で戦えば、陪審員は恐らくコットンを強力に支援し、被告に同情が寄せられることはないはずである。どちらも戦う準備は整っているようだが、原告の論理が問題となるだろう。 

この訴訟も恐らく荒れるだろう。

結論

著作権法が絡む訴訟の多くは、何の面白味もなく、退屈な展開が多い。しかし、今回の訴訟は面白くなりそうだ。 

これは著作権の筋金入りの侵害者をも窮地に追い込む濫用である。このような利用は様々な理由から認められず、変えなければならないと誰もが思っているようだ。 

しかし、問題山積の今回の訴訟を含め、あらゆる著作権法の訴訟は、この法律を難解にする退屈な詳細を導くことになる。

このような激しい怒りを買っている訴訟が法律の無味乾燥な問題に要約されてしまうのは残念だが、こうしてシステムは動いているのだ。 

この面白味に欠ける退屈なシステムがこの訴訟を中断しないこと、そして、誰もが納得のいく結果を運んでくれることを願うばかりだ。

ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。

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