Monday, 13 October, 2008

他人事ではない盗用スキャンダル

8月 29日 at 12:45 pm by ジョナサン ベイリー -

2003年5月、ニューヨークタイムズの若い記者が退社した。ジェイソン・ブレアという名のこの記者は不正確な情報を提供することで有名ではあったが、辞表を提出する数週間前には盗用疑惑がかけられ、窮地に瀕していた。

その後の捜査で、彼が執筆した73本の記事のうち36本に盗用の疑いがかけられた。つまりこれらの記事にはその他の情報源から盗んだ可能性が高い情報が掲載されていたのだ。このスキャンダルは大きくなり、1ヶ月も経たないうちに、2人のキャリアが犠牲になった。職を失ったのは、ニューヨークタイムズのリーダークラスの編集者2人で、そのうち1人は、ピューリッツァー受賞経験者であった。

彼らの追放は適切な処置だと見られたが、かつての名声を取り戻すことはできなかった。かつてのアメリカ最高のジャーナリズムの砦は、詐欺および不正を働いたことに対する非難を受け、現在もこの問題と彼らは戦っている。

しかし、ニューヨークタイムズだけがこの戦慄のストーリーに怯えているわけではない。あらゆる類の報道機関に盗用という亡霊の影が見え隠れしている。ブログがゲストの投稿を受け入れ、料金と引き換えに記事を書いてもらうようになるにつれて、ブログ組織を壊滅するスキャンダルが生じるリスクは増えていくのだ。

このため、ブログの編集者は少し時間を取り、このリスクについて考え、自分達をこのようなスキャンダルから守るための予防策を講じる必要がある。たった1人の劣悪なライターがたった1つの記事を盗用するだけで、数年間もの価値がある今まで築いてきた名声や関係が台無しにになってしまう。幸いにも、ニューヨークタイムズで生じた出来事を予防する方法が幾つか存在する。簡単な予防策を幾つか講じておく価値はあるはずだ。

法的な問題

以前紹介したように、法律はサイトに対して、例えばコメントのように、作品がユーザーに向けて投稿されたものであれば、手厚く保護してくれる。

しかし、編集する権利を持っている作品の場合、話は違ってくる。たとえ小さな役割であっても、仲介者ではなく、参加者と見なされるのだ。

このような作品に関しては、大抵の場合、サイトはDMCAの免責条項を受ける資格を失う。もし誰かが訴えようとすれば、実際の作者に加えて、編集者/所有者にも矛先が向けられる可能性は非常に高い。とりわけ盗用により収益を得ていることが明らかな場合や、務めを果たしていない場合は尚更標的にされる可能性は高い。

それよりも可能性が高く、同じぐらい恐ろしいケースは、サイト自体がDMCA警告の対象となることであり、この場合、当該の作品が削除され、盗用を適切に処理するまではサーバー全体がクローズされてしまう可能性がある。修正したサイトをホストが回復するまでには、数時間、あるいは数日間もの長期間、休止状態に追い込まれる可能性がある。

要するに、一番大きなこの法的な問題は出来るだけ回避するべきであり、創作的な仕事に直面するすべての職業と同じで、ブロガーを雇う際には、法的なリスクを考察し、軽減する必要がある。

評判に関わる問題

ニューヨークタイムズのケースを見ても分かるように、盗用スキャンダルの一番大きな影響は、法的な問題ではなく、職業的な問題に反映されることが多い。著作権の侵害は数年前と比べると違反の度合いは軽く見られるようになったが、盗用に関しては、とりわけプロの組織が犯してしまった場合は、今でも重罪というイメージがつきまとっている。

たった1度の盗用スキャンダルが組織全体の信用を貶めてしまう。多くの人からは、信頼を裏切ったと非難される。どんなメディアでもオーディエンスの信用がなければ生き残ることはできない。この疑惑の目は、たとえ盗用自体に関与していなくても、組織内のその他のライターや編集者にも向けられるだろう。

さらに、このようなスキャンダルは必ずと言っていいほど話題になり、一度発生すると、ほぼ確実に同業他社が大々的に報じる。このような疑惑は、利用する価値があることが見出されると、必ず誰かに暴かれてしまうのだ。

グループブログやその他のニューメディアを含め、多くのメディア組織にとっては、盗用スキャンダルは爆発するのを待っている時限爆弾のようなものであり、今まで取り組んできたことを何もかも頓挫させてしまう。

爆発する前に爆弾を止めるのは編集者と所有者の腕次第だ。

リスクの軽減

幸いにも、インターネットの世界では、このリスクを軽減することが出来るシンプルな方法が存在する。一番簡単な方法は、探すことだ。

しかし、このリスクを探す行為は多岐にわたる可能性がある。最も基本的なレベルでは、作品からキーとなるフレーズをグーグル等の検索エンジンに入力し、盗用を探す方法や、提出されたエッセイから盗用を探し出すために大学教授の人達が数年前から利用している、上級者向けのアンチ盗用ツールを使って探す方法がある。

ブロガー市場にアプローチしているサービスに、iPlagiarismCheck(iプラジャリズムチェック)というサービスがある。彼らはワード、HTML、RTF、テキストあるいはPDFフォーマットで提出されたファイルを受け取り、これらのファイルを印刷された書類だけでなくインターネット上の文書と比較する。とてもベーシックなサービスであり、1度につき5ドルという値段は法外に思えるが、1年間の無制限チェックを受けることができる65ドルの年間利用は、競合他社と比べると半額以下となり、多くのブログ編集者でも支払うことが出来る金額である(iプラジャリズムをレビューした記事はここで確認)。

Copyscape(コピースケイプ)というサービスでは、小額の料金を支払うことでプレミアム検索を利用することができる。この検索は1回につき5セントで(初期出費として最低でも5ドル必要)、グーグルを使ったインターネット上の検索のみを行う。彼らは、ブログの記事のチェックにはうってつけの簡単なコピー&ペースト検索サービスを提供している。結果が出るまでに数時間かかるアカデミックなサービスよりも、遥かに早く結果が反映される。

従来、双方のサービスを使って盗用検知を行うのは実質的に大学や大きな新聞社等の大企業に限られていた。理想としては記事を配信する前に利用し、あるいは配信した直後に利用し、盗用を探し出す。また、投稿されるたびに記事をそれぞれチェックするのではなく、過去あるいは現在の投稿をスポットチェックすることもできる。

しかし、このような盗用をチェックすることよりも重要なことは、ブロガーあるいは別のライターを雇う前に盗用の可能性についてよく考え、身元のはっきりとしたソースから、信頼のできるライターを雇うことだ。長年にわたって記事を書き、質の高い資料を持っているライターは、単に一番料金が安いだけの謎だらけのライターよりも、盗用行為におよぶ危険性は低い。

さらに、契約書のなかに盗用を禁止する条項を記載して、そのような行為に対する被害に関しては補償してもらうべきだ。つまり、そのような行為の結果生じたダメージに対してはライターに責任を取ってもらうということである。盗用者をスタッフに迎え入れた結果生じる法的な影響に対してのみ効果があるように思えるが、それでも盗用者候補に思いとどまらせて、彼らが誰かの作品からコピペする可能性を低減させることができる。

つまり、世に出る前に盗用を見つけることよりも有効なのは、盗用者に盗用させないことだ。真剣にことの重さを、そして盗用者がつかまる現実的な見込みを伝えることで、盗用する人はほとんどいなくなり、自分のサイトに盗用されたコンテンツが掲載される可能性も激減するだろう。

結論

盗用スキャンダルに巻き込まれないためには、今も昔も、自分ですべての記事を書き、使う言葉に気をつけることが一番手っ取り早い。しかしながら、これは現実的な方法ではない。

大部分のライターは、プロのライターもそうではないライターも含めて、まじめであり、盗用行為に及ぶことはないが、このリスクを無視するのはあまりにも危険過ぎる。盗用者を雇ってしまう可能性は、大企業においても低いものの、たった1度の盗用が組織全体を壊滅する事実を編集者は頭に叩き込んでおくべきだ。

幸いにも幾つかの予防策の効果は大きいので、これらのリスクを軽減することができる。すべての組織が自分達にとって何が適切であり、何が現実的かを決めることになるのだが、ただ単に危険を無視して、何も起こらないことを願うだけでは、長期的な戦略としては不十分だ。

盗用対策として作品がスキャンされることに対して、自分達が信頼されていないと感じ、反対するライターもいるかもしれないが、このようなスキャンは、新聞社、雑誌社、さらに最近では書籍の出版社の大部分のプロのライターにとっては避けられない状況になりつつある。

テクノロジーの値段が下がり、小規模なブログ組織やその他のウェブベースメディア企業でも利用できるようになってきているため、自分たちが適度に感じるレベルでこれらのツールを利用していくことは非常に理にかなった行動である。

つまり、ニューヨークタイムズであろうが生まれたばかりのブログであろうが、読者に信頼されなければ、誰も耳を傾けてくれず、長期的な利益にも支障をきたしかねないのだ。

ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。

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