我々はユーザー生成コンテンツの世界に住んでいる。一日平均で4万本もの新しいビデオがYouTube(ユーチューブ)にアップされ、数百万ものビデオが視聴されている。今や売れっ子小説家を目指すのではなく、売れっ子映画製作者を目指す方が一般的になりつつある。伝統的に映画の資金調達、製作、そして配信はエリートが追い求める道であり、莫大なリソースが必要とされる。これは平均的な一般市民の手の届く範囲ではない。
デジタル改革によって、一般市民にも映画を作ることができるようになった。最近のコンピューターにはビデオ編集ソフトウェアが内蔵されていることが多い。画像技術の改善と価格が安価になったおかげで、一般市民にもHD解像度のカメラが手に入るようになってきている。
これらすべての技術進歩にも関わらず、映画製作のある一面は遅れを取っている。それがウェブベースのコラボレーションのコンセプトだ。当然ながら監督は中心的なチームを、例を挙げると、共同製作者、脚本家、プロデューサー、俳優、エディター、そして作曲家で編成する。しかし現在のソーシャルメディアのトレンドでは大抵の場合、ユーザーは消極的な係わり合いを持つだけで終わってしまっていた。しかし、これからは違う。
興味深いトレンドが現れ、従来の映画製作のコンセプトに対抗している。本物のコミュニティの精神の下、映画製作者の中には映画の資金調達、製作、そして配信の方法を「クラウドソーシング」に転換し始めている製作者もいる。

このようなシネマ2.0の実験の1つに、英国の映画製作者兼作家のマット・ハンソンによって立ち上げられたA Swarm of Angels(ア・スウォーム・オブ・エンジェルズ:天使の群れ)が挙げられる。ア・スウォーム・オブ・エンジェルズは「クラウドソーシング」による映画製作プロジェクトであり、コミュニティが一体となって長編映画を製作するプロジェクトだ。
映画の資金調達はコミュニティが行う。小額の購読費用がエンジェルそして共同製作者に変貌する可能性も秘めている。エンジェルは脚本からスクリーンに至るまで、作業に口を出す権利が与えられる。プロジェクトの映画が製作段階に入れば、出演者やクルーとして参加することもあり得る。

目下のところ、プロジェクトは脚本の段階にある。二つの脚本の下書きが作成されており、これを選択する権利がコミュニティに与えられている。脚本が選択されると、エンジェルはこの脚本の映像化の手直しを手伝うことになる。
製作の間中、映画製作に参加する方法がたくさん用意されている。時として、エンジェルは料金をもらって自分の専門性を貸し出して様々な仕事を補填することになるだろう。それ以外にもエンジェルには、コミュニティの投票を基にして製作に関する決定に対して意見を言う機会が訪れるだろう。
映画の製作が終わると、エンジェルはインターネットで配信する作業を無償で支援する。プロジェクトの目標の一つに、クリエイティブ・コモンズのラインセンスの下で配信して、その上で視聴され、共有され、そしてリミックスされることが挙げられている。このプロジェクトはコミュニティ、http://www.aswarmofangels.comを中心として展開されている。このコミュニティはフォーラム、ポッドキャスト、写真のストリーム、そして、最終的には映画の脚本となる発展型の物語の展開を特徴としている。

ア・スウォーム・オブ・エンジェルズは映画製作がどんな感じで進められているのか想像していた人たちに非常に稀な機会を提供している。財務的なリスクを抱えずに気軽に共同製作者に名を連ねられることは滅多にない。
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