The Economist(ザ・エコノミスト)におもしろい記事が掲載されている。ダボス世界経済フォーラム(今回のテーマは「世界を動かすパワーの変化」)に参加しているCEOにブログを書くことが奨励されているようだ。一見したところでは、グーグルのセルゲイやラリーが主催するパーティーでCEOたちにとことん楽しんで欲しいと頼むぐらい筋が通っているように思える。
しかし、ここで1つの疑問が生じる。ブログは企業のボスに向いているのだろうか?「Small is the New Big(これからのビッグはスモール)」や「All Marketers are Liars: the Power of Telling Authentic Stories in a Low-Trust World(マーケティング担当者はみんな嘘吐き。信頼されない世界で正しいことを話す力)」等のビジネス書の著者、セス・ゴーディンは懐疑的なスタンスを取っている。彼は、ブログが威力を発揮するのは、「誠実性、緊急性、適時性、簡潔性、話題性(6つ目には利便性が挙げられるだろう)」の価値に基づいているからだと述べ、CEOがブログを書くことに疑問を投げかけている。
とりわけ誠実性に関しては、サーベンス・オクスリー法制定後の企業国家アメリカで責任を背負わされている、多くのCEOにとっては危険が伴う。
CEOがブログを書くという考えは小規模なビジネスを行う企業の世界では浸透しつつある。ブログを持つことはAJAXを多用したホームページや、スペルミスや造語で構成されたドメイン名を持つのと同じぐらい必須とされている、オンラインのスタートアップ企業はなおさらだ。スタートアップという状況では、CEOがブログするのは理に叶っている。なぜならCEOとほんの一握りのスタッフが企業を形成しているからだ。これは1人歩きすることもままならない状態だ。株主は存在するものの、そのうちのほとんどがブログを書いているので、CEOがブログを書くのも結局利益を追求しているにすぎない。忘れてはならないのは、もしブログで配信した記事の内容が「無意識のうちに」米証券取引委員会(SEC)の規則に抵触しても、CEOやその他の経営陣を刑務所に送り込むような恐ろしいサーベンス・オクスリー法が存在しないことだ。
ベンチャー企業のCEOと「Fortune 500」に載るようなCEOの個人のプロフィールの差は、背負う責任の差でもある。— この責任の差がブログに関しての違いにつながるというわけだ。
先日PR業界の発展の遅さについて、ストウ・ボイドは次のように提言している。
つまり、今までオーディエンスだった人(私は「edgling」と呼んでいる)が — ブロゴスフィアに参加するようになっている。そして参加を望む企業内の人間が個人として参加することができるのだ。つまり企業がブログをするわけではないが、その社員がブログをしているのだ。
企業がブログをするのではない。これは正論だ。しかし企業ブロガーは「個人」と企業の代表者とのバランスに気を配りながら参加する必要がある。平社員レベルでもそうだ。真実、自発性、真偽(この言葉が嫌いになってきた・・・)が備わったブログを探すのは難しくなってきた。企業はカスタマーサービスの代表者に、消費者に会って、褒めちぎって、機嫌を取ってこいと命令するのではない。そうすれば確かに消費者は喜ぶかもしれないが、規則違反になったり、最悪の場合は訴訟問題に発展する可能性もある。
結局、管理が大事なのだ。個人でブログを書くことは可能であり、これは自分の個性を掌握しているからだ(いい意味でも、悪い意味でも)。小規模な個人企業もブログすることができる。可動性や柔軟性が備わっているからだ。そのため厳格な管理に頼る必要もない。しかし、規模が大きい株式会社はどうだろう?彼らにとっては管理が生命線と言える。内部統制、サーベンス・オクスリー法、監査、規則。ここまでがんじがらめな状態で、「正しく」ブログを書くことができるのだろうか?
ザ・エコノミストはSun Microsystems(サン・マイクロシステムズ)のCEO、ジョナサン・シュワルツが投稿した記事に触れている。この記事を読む限りでは、どうやら真剣に「正しく」ブログしようと試みているCEOでさえ身動きが取れない状態に陥っているようだ。
サン・マイクロシステムズのCEO、ジョナサン・シュワルツは恐らくもっとも熱心なCEOブロガーだろう。そんな彼のブログでさえ、頻繁に更新されているわけではなく、1月22日に投稿された「SunとIntelの関係」という記事を読む限りでは、彼も常に法的なリスクに気を配っているようだ。少し転載しよう。「そのとおり。我々は今朝Intelと共同で発表することになっている。しかし記者会見を行う前にこの場で内部情報を配信するわけにはいかない。」正直なジョナサンに拍手。
ただし、大きな企業が透明性と顧客関係管理を改善し、企業ブランドの宣伝を控えめにしてもメリットがない、と言いたいのではない。私はブロゴスフィアで行われている生のコミュニケーション(いい事も、悪い事も)をそのまま大きな企業に持ち込めるとはどうしても思えないのだ。ブログのいいところを生かすことはできるはずだし、方向性としては問題ない。しかし、Enron(エンロン)やWorldcom(ワールドコム)のことを考えると、自分の投資している企業のCEOにだけは「いい加減」な態度でブログに臨まないでもらいたい。
[スコット・カープは「正しく」、Publishing 2.0(パブリッシング2.0)でブログを書いている。]
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